「JR西日本の支社の男性運転士が、回送列車の出発を1分間遅延させるミスをしたことを理由として1分間分の賃金など56円が支給されなかったのは不当だとして、未払い分や慰謝料などを求めた訴訟について、令和4年4月19日、管轄の地方裁判所が56円の支払いを命じた。」といった報道がありました。
当該地裁の裁判長は、業務の内容に反する誤りや遅延があった場合における正規の業務内容へ修正するための行動も「業務の遂行に向けた一連の労務」に当たると判断。
男性運転士は自らミスに気付き、直ちに所定の業務内容に修正するべく行動したとして、1分間の遅延も労務に当たり、その1分間分の賃金支払いの対象になるとしたようです。
その一方で、男性運転士が受けた不利益は少額で、賃金が支給されれば回復されるとして、慰謝料は認めなかったということです。
なお、JR西日本では、ミスが運行の遅延などにつながった場合にその分を欠勤扱いとしてきた運用を既に見直しているということです。
ちなみに、男性運転士は、令和3年3月に提訴しましたが、今年に入ってから病死。
弁護団が訴訟を継承していたということです。
報道でも多数取り上げられており、金額は僅かですが、そのインパクトは大きなものとなりました。
企業側としては、このように話題になると、イメージダウンは免れません。
就業規則の規定内容、労働時間の管理や給与計算などの重要性を再認識させられる判決となりました。